▼生徒による授業評価〜現況と課題
■授業アンケートで授業は改善するのか?
授業アンケートを行なう場合は、年2回の実施を薦めている。1回目の結果で問題ありとされた項目について、同一年度内に調査を行なうことで、ほぼ同じ集団からの評価により改善を検証できるし、回答してくれた生徒に対して「よりよい授業の実現」というフィードバックができるからである。
下のグラフは、ある高校で行なった授業アンケート2回分の結果である。横軸は1回目の結果を満点=100点として計算したもので、縦軸は1回目から2回目にかけて結果がどのように変化したかを示している。たとえば、グラフ左下の赤い◆は、1回目に53ポイントであった教員が、2回目にはさらに3.2ポイント評価を下げたことを、上の方にある黄色い◆は、前回72ポイントであった教員がさらに7.8ポイント評価を伸ばしたということをそれぞれ図示している。

全体では変動値=0の線の上下に同じように◆が分布していることから、授業アンケートの実施が必ずしも授業の改善に直結するものではないと思われるかもしれないが、そうではない。
前回に較べてポイントを伸ばした教員(グラフの上半分)に関して言えば、弱点の克服に成功した結果がそのまま数字に現れている。一方では、2回目で評価を下げた教員がわずか数ヶ月のうちに技術を低下させたわけではない。実際に教室を覗いてみると、改善を目指した試行が裏目に出ているケースもなくはないが、ほとんどの場合、「前と同じ授業」が展開されているのである。
この結果の裏には、前述の生徒による評価の相対性が潜んでいる。つまり、多くの教員が弱点の解消、授業の改善を目指して努力を重ねた中で、生徒が日頃目にする授業の水準が高くなったために、生徒の目が肥えたのである。このため、従前と同じ授業を繰り返す教員に対しては「相対的」に低い評価が与えられるようになったというのが大半の事例の真相である。
前回非常に高い評価を得た教員の中にも評価を下げてしまったケースがあるが、これはもともと完成度の高い授業であったため、短期間で効果を上積みする部分が残っていなかったためか、あるいは高評価に満足して改善の歩を止めてしまったためかのいずれかと考えられる。
授業アンケートを行なう意義は、現状維持や停滞を許さない、常に進化を求める圧力を生じせしめることにある。このような厳しい環境の出現は、まさに当事者すべての進化を求めることになり、学校全体での指導技術を高め、活性化するために不可欠な刺激となる。この傾向は、アンケートの実施2〜3回目で最も強く観察されるが、数年のスパンで消失するものでもない。



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