▼生徒による授業評価〜現況と課題

■授業アンケートは必要か

生徒による授業評価というと、教員の序列化を行なうためのものとの認識が古くからあり、また今もなお根強い。しかしながら、本来目的とするところは「授業改善にむけた課題形成機会」であり、学校が保証する教育や学力を担保するための品質管理手段のひとつとして認識されるべきものである。

急速に少子化が進む中、「選ばれる学校」であり続けるためには、顧客たる生徒・保護者・地域社会に対して、投資(=3年間という時間と支払う授業料)に見合ったリターン(教育の質と、その結果としてもたらされる進路希望の実現など)を出口で保証しなければならない。

学校は、このリターンを保証するために、どのような授業が行なわれているかを、現況における成果と改善に向けての課題という2つの視点から常に把握しておく必要がある。把握の方法としては、
・管理職や同僚同士の授業観察や各種外部評価
・学力形成の成否を評価するための各種考査の結果分析
といった手法も不可欠であるが、学習の主体たる生徒を評価者として加えない理由はない。また、授業そのものを受益者視点で評価する方法としては、網羅性・費用対効果においてアンケートに勝る方法はそう多くないだろう。生徒や保護者、そして地域社会に対して授業が改善された(あるいは一定以上の水準を保っている)という結果を多角的に示すことは、学校の説明責任の一つである。

また、教師にとっても、授業改善に取り組んだ結果が数字として示されるアンケートは、自身の取り組みが一定の成果を得たという達成感を得る代えがたき好機である。達成感はモチベーションの原資であること(連載コラム「教室でのコミュニケーション」を参照)は、生徒も教師も変わらない。是とする授業像を明確にイメージし、その実現度合いを測りうる質問群により定期的に評価を受けること。これにより、問題を把握し、改善の目標を立て、その達成を検証することが可能となる。この過程なくして、授業者としての教員が達成感を得るべき機会は多くない。

新卒で教壇に立てば、定年で職場を去るまで40年近くを教室で過ごすわけであるが、その中で明確な達成感を得る機会を持ち、モチベーションを新たにする機会をもてるのは、歓迎すべきことであろう。


生徒による授業アンケートは、学校にとっては果たすべき責任の一部であり、教師とっては教壇生活をより充実させるためのツールである。どちらの側面から考えても、授業アンケートは必要であり、費用対効果において勝る代替手段が確立できない限りにおいては、積極的に採用したい授業品質管理手法のひとつである。