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色や記号で直感的に把握させる工夫 話に集中させ、ノートはメモ程度に - 阿由葉 勝 講師(数学)

数学講師  阿由葉 勝

インタビュー風景 ― 先生の授業の中で、「板書」はどれくらい重要だと考えていますか? 僕は日頃から行動心理学などに興味を持って、いろいろな文献を読んでいるのですが、その1つに、人間は言葉で聞くよりも、目で見て認識する方が、物事を習得しやすくなるという検証データがあります。言葉だけで説明すると、相手はわかったように見えて、実はわかっていないことが多い。つまり、黒板に文章や図で見せることは、言葉で話すこと以上に大切だとわかっているので、板書の重要性はかなり意識しています。

― 具体的には、どのようなことに気を付けていますか? 授業で話そうとしているテーマを簡潔にまとめたものを、まず板書して「見せる」。そして、それに付随する話を自分の言葉で話して「聞かせる」。この2つを意図的に結びつけ、深く理解させることを心がけています。細かいレジュメを作成して、それをそのまま板書し、読む方法もありますが、結局書いてあることをなぞっているだけだと、見ている方は内容が頭に入ってこない。板書にある簡単なレジュメに対して説明を付加させる、または、レジュメとは異なる表現で説明することで理解が深まりより頭に残ると考えています。また、僕の場合、全部紙に書くと、その通りに授業しなければと慌ててしまうことがあります。だから、レジュメはコンパクトに要点だけをまとめておいて、そのときの生徒の表情を見ながら当日に流れを作っていく方が、テンポよく授業できます。特に、その科目が不得意な生徒が多いときは、こちらが予期せぬところでつまずいていることもあるので、フレキシブルに対応できるようにしておくことが大切だと考えています。

インタビュー風景 ― 黒板の使い方でこだわっているところは? 中学数学に比べると、高校数学は進度が速いので、生徒はノートをとることに必死になって、本人は聞いているつもりなのですが、話をなかなか聞けていないことが多い。それをできるだけフォローするためにも、要点がぱっと目に入りやすい黒板にしておかなければいけないと思います。たとえば、関連性のある部分は色や記号・印をそろえて書いておくなどの工夫をしています。こちらが黒板を指差しながら話すとき、生徒たちには文章で読ませるのではなく、色や記号などで直感的に把握させようと考えています。

― ノートの取り方はどのように指示していますか? ノートをきれいに取ることばかり考えて、肝心な話の中身を理解していない生徒が多いように感じます。そもそも、話を聞き、考え理解しながら書くという行為自体が難しいこと。だから僕の授業では、ノートを取るのは裏紙などに殴り書きでもいいのでメモ程度に、と指導しています。話を聞いて一緒に考えることが重要で、ノートは二の次だよと。色をつけるような箇所は、ペンを持ち替える時間がもったいないので、そこに線だけ引いて後でわかるようにしておけばいい。そして家に帰ってから、授業の内容を思い出しながら、自分なりにノートをきれいに清書するのです。このやり方は、必ず復習するという動機付けにもなります。

― 生徒を主体的に学習に向かわせるために、先生が日頃心がけていることは何ですか? この仕事をしていていつも悩むのは、100のことを教えても、80~90のことを吸収できる生徒と、20~30しか吸収できない生徒がいるということ。何より20~30しか吸収できない生徒は自分がそうであることに気付いていないということ。これらの生徒をどうにかして80~90吸収できるように近づけなければいけないのですが、本人たちはその自覚がないので、頭ごなしにこうやれ、ああやれと言っても、納得しない。だから、今の自分のレベルを上げるために必要なメンタル面、たとえば、集中力のつけ方、自分をコントロールする力などを、僕は自分の体験談やスポーツなどに例え、必ず生徒たちがこのままではマズイという実感を伴いやすい話にして伝えています。そうすると、まさに自分のことを言い当てられていると思った生徒が、嫌な顔をするときもある。でも成長するためのスタートは、自分を知ることから。まず自分の弱みを意識させ、それを克服するための方法を教えて、やる気につなげる。生徒全員を第一志望に合格させるため、数学を教えることに加えて、授業に臨む姿勢の下地作りにも力を注いでいます。

聞き手:坂口 絵美